平成30年12月21日、東大寺二月堂と不動堂を特別にお借りして、檀信徒の皆様の年越し護摩祈祷をおこないました。本年で24年目を迎え、ご参加の皆様にも恒例の行事です。太陽の光が一番弱い時期に、復活してゆく陽光の如くあれと、きたるべき年の除災招福を願いました。

古来、護摩の祈祷に四種類(四種法)あると言われています。息災法(そくさいほう)・増益法(そうやくほう)・調伏法(ちょうぶくほう)・敬愛法(けいあいほう)の四つです。

息災法とは病気、家庭や仕事のトラブルなど、現在マイナスのものをゼロにリセットする修法。

増益法とは商売繁盛、学業成就など、現在ゼロのものをプラスにする修法。

調伏法とは相手のプラスやゼロを一挙にマイナスに落とす修法。

敬愛法とは恋愛成就など、増益と同じくゼロのものをプラスにする修法です。

それぞれ厳密には、お供えする花、修法に関わる色、拝む時間、拝む方向、座り方、供物、護摩壇の形などが細かく規定されています。

四種法のうち、調伏は相手にダメージを与えるブラックマジックです。かつて平将門の乱の平定や元寇の降伏など、戦争や政争時に多用されました。しかし、相手を攻撃するときには、自らもダメージをうけることを覚悟しなければなりません。人を呪わば穴二つなのです。

四種法のうち、息災は全てに通ずると言われ、現在ほとんどのお寺では、息災に使う円形の護摩壇で護摩を焚き、修法の内容も息災に沿ったものになっています。息災とは災難が息む(やむ)ことを意味し、マイナスをリセットすることが祈祷の基本ということでしょう。

また、病気平癒なら薬師如来、学業成就なら文殊菩薩など、願いに適した仏様がおられますが、観音菩薩と不動明王はオールマイティーの仏様として人気があります。全国の霊場数でも、第一位は観音霊場、第二位は弘法大師霊場、第三位が不動明王霊場です。観音様は優しい母、不動明王は厳格な父といった役どころでしょうか。ここでもお母さんが人気のようですね。

さて、平成もあと半年足らずとなりました。この30年は皆様にとってどのような年月であったでしょうか。まもなく新しい年と新しい元号をいただくことになります。新たな時代が平穏で実り多い日々であることを切に願います。良いお年をお迎えください。合掌

 

※左から調伏、増益、息災、敬愛の護摩壇でそれぞれ形が違います。