仏教と落語

わたくしたち近隣のお寺20数ケ寺で南都二六会という親睦会を作っている。もともとは野球のチームだったが、毎月26日に例会を開いていて、仏教の研鑽を重ねている。その一年間の研鑽の成果を皆様に聞いていただくのが、毎年11月に開催する ”いのちのおしえ”仏教セミナー である。今年で34回目を数えることとなった。昨年度は”エンディング”をテーマに開催した。普通のセミナーでは面白くないので、構成に少し趣向を凝らしてみた。講演の前座として笑福亭福笑師匠に落語をお願いしたのである。

福笑師匠には”葬儀屋さん”という新作の持ちネタがあり、テーマにふさわしいのでは、という狙いだった。客足も期待できる。案の定、客席は満席札止めとなった。視線一つ、言葉一つで客を引き付けるプロのわざ。観客も仕草を目で追い、小さな声にも耳をそばだてる。満員の観客はいつの間にか落語の世界に引き込まれている。見事な話芸だ。

実は落語のルーツはお坊さんの法話にある。江戸時代の浄土宗の僧侶、安楽庵策伝がお説教に笑いの要素を取り入れ、わかりやすく仏の教えを説いたのが始まりだとか。それが評判になり、その話を集めた「醒睡笑」が落語のネタ本になったという。扇子一つで客席に向かい合う姿が法話をする自らの姿に重なる。持ちネタ??もそこそこないと、たちまち困ることになるので、しっかり勉強もしないといけない。落語家とお坊さんは、実によく似た存在なのである。

勉強になるからという理由をつけて、大阪天満宮の繁昌亭に通うことが多くなった。大御所の安定感ある高座もさることながら、感心するのは若手のうまさである。名前も知らなかった若い落語家でも実に達者だ。生の三味線や太鼓の音も、新鮮で情緒がある。こういう文化のある土地は羨ましいなあと、いつも感じてしまう。楽しみ半分勉強半分の繁昌亭通いはしばらく続くかもしれない。

それでは繁昌亭で仕入れた謎掛けを一つ。インフルエンザとかけて結婚と解く。その心は・・・熱が冷めてもセキはなかなか抜けないでしょう。

インフルエンザに気をつけて、皆様どうぞ良いお年をお迎えください。合掌