大仏さまはなぜ大きいか

 本年も残すところわずかとなりました。今年は新型コロナが世界中で猛威をふるい、大混乱の大変な一年になってしまいました。つらく不自由な思いで過ごされた皆様も多かったのではないでしょうか。新型コロナによって、人々の生命や健康が損なわれただけでなく、影響は経済や文化などあらゆるところに及び、社会全体が深刻な被害を受けました。発生以来、ほぼ一年を迎えようとしている今でさえ、感染が収まる気配を見せず、しばらく影響は続きそうです。
 わたしたちは、天災というと地震や台風ばかりを連想し、感染症の蔓延にはあまり注意を払っていなかったように思います。しかし世界的に見ると、感染症は天然痘やペスト、スペイン風邪の流行など、政治や歴史の流れを変えるほどの影響を社会に与えたことも少なからずあります。日本でも奈良時代には天然痘の大流行があり、藤原一族が次々に病に倒れて政治機能が麻痺してしまいました。そればかりでなく同じ時期に、政変・かんばつ・飢饉・凶作・大地震などさまざまな凶事が発生。為政者としてその責任を一身に感じた聖武天皇は、深く仏教に帰依して全国に国分寺や国分尼寺を配し、総国分寺として東大寺を造営して大仏を建立しました。人々が初めて目にする大きな仏さま。その大きさとは、まさに聖武天皇を始めとする人々の苦悩の大きさだったのではないでしょうか。天然痘に苦しんだことが、大仏建立の一つの理由となったのです。
 お釈迦様は人生を“苦”と捉え、一切皆苦と表現しました。“苦”のもともとの意味は、思い通りにならないということ。一切皆苦とは、自分の思い通りにならないことに満ちているのが私たちの世界である、という真理を説いています。生老病死と言いますが、生まれ出ること、老いてゆくこと、病にかかること、死んでゆくこと、すべて思い通りになりません。そんな世の中にあって、お釈迦様は理想の世界を目指し、仏の世界に到るために行う六波羅蜜(六つの修行)を説かれました。今の時代に当てはめると、以下のようになるでしょうか・・・。
1布施(人助けや社会奉仕をして)2持戒(ルールを遵守する)3忍辱(忍耐強く)4精進(努力を重ね)5禅定(落ち着いて)6智慧(より良い生き方をめざす)。六波羅蜜は時代や場所を超えた普遍の教えとして尊ばれています。新型コロナで大変な時ですが、教えにのっとり、諦めることなく腐ることなく、正しく歩んでゆきたいものです。

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