大仏さまのおみぬぐい

8月7日、大仏さまのおみぬぐいに初めて参加させていただきました。

早朝、メンバーが二月堂下の湯屋で沐浴し、身体を清めることからおみぬぐいは始まります。そのあとは白衣と藁草履に着替えて、大仏殿まで移動。午前7時から東大寺橋村管長による撥遣(はっけん)作法が行われました。この撥遣とは仏さまの魂を抜くための作法で、引越しや工事などで仏壇を動かす際にも執り行うものです。そして170名ほどの参加者全員で般若心経を唱え、いよいよここから作業がスタートしました。

大仏さまの頭や肩など地上から高い場所は、ゴンドラに乗って埃をはらい落とすのですが、私はそのゴンドラの綱を引く担当です。これがやってみるとなかなかの力仕事で、25歳の私でも全身にこたえました。しかしながら、「もうちょっと緩めて〜」「もっとこっち寄って〜」と声を掛け合いながら取り組みましたので、事故もなく終わって一安心。やはり息と心を合わせることが大切ですね。

そしてゴンドラ作業終了後、休憩を挟んでからは、掃除作業に私も加わりました。大仏さまは平安時代終わりと戦国時代の2回、戦火で焼け落ちているのですが、今回膝に上がらせていただいた際、その生々しい痕跡を間近で見ることができました。これはおみぬぐいに参加しなければ、目にすることはできないものでしょう。
無心に白布で大仏さまを拭き上げていると、やがて終了の合図が。午前10時ごろのことでした。

建立後の長い歴史の中、幾度も災難にみまわれた大仏さまは、愚かな人間たちの所業をどのような思いで見つめてこられたのでしょう。
厳かなたたずまいで、いつも変わらず私たちを見守ってくださる大仏さま。
大仏さまへの感謝の思いをあらたにした、おみぬぐいの一日でした。
南無毘盧遮那仏

住職日記

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