大仏さまのお身ぬぐい

今年も8月7日がやってきました。この日は大仏さまにとって特別な一日。そう、年に一度のお身ぬぐいの日です。

私は昨年に続き、今年も参加させていただきました。

昨年はゴンドラの綱引き担当でしたが、今年は大仏さまの螺髪(らほつ)の清掃を仰せつかりました。螺髪というのは、仏さまの頭の丸まった髪の毛を指しています。今回、その担当と知らされてからは、当日をワクワク心待ちにしていました。

ところで大仏さまの頭上にはどうやって上がるのか、みなさんはご存じでしょうか。実はゴンドラで上まで吊り上げてもらうのではなく、自力で登っていくのです。

大仏さまの像の中は空洞になっており、その大きなお身体を支えるために縦横あらゆる箇所に木組みが張り巡らされています。それをジャングルジムの要領で一段一段上っていくのですが、周りは真っ暗闇の上、木材は太くてつかみにくく、私は落ちないかと冷や冷やドキドキ。あのワクワク感はどこへやら、でした。螺髪を担当するのは若者か大工さんだと聞いていたのですが、「そういうことだったのか」と納得した次第です。

 

そして大仏さまの頭部まで登りつめると、内側から頭頂部の螺髪をひとつパカッと外します。それは人が通れるほどのひときわ大きなサイズの螺髪で、そこから外へと出ることができるのです。

最初に命綱をつけ、いよいよ大仏さまのお掃除に取り掛かりました。螺髪と螺髪の間に溜まった埃を、ハタキでひたすら払い続けます。

下にいる人が指先ほどの大きさに見える高さ。さらに足元の螺髪はグラグラするものもあったりで、藁草履で動くのも大変緊張しました。

しかしながら一年分の埃が舞い上がって、大仏さまの頭がきれいになっていくさまはとてもすがすがしく、怪我なく無事にお役目を終えた今は、ただただありがたさしかありません。ご一緒できたみなさま、お疲れさまでした。

 

終了後、ホッとしているところをお知り合いの方が撮ってくださいました。ありがとうございます。

 

追記

今年のお身ぬぐいには山中伸弥先生も参加されていました。奈良市に長く住んでおられた先生にとって、きっと大仏さまは大切な存在なのでしょうね。