10月14日(月)午後7時30分より天平墓苑合同法要を開催しました。例年お月見法要として開催していますが、あいにくの雨模様で本堂にお集まりいただいての法要となりました。50人以上の方がお越しになり本堂はぎっしり満員。いちどにこれだけの方に列席していただいての法要は経験がありません。この3年間で天平墓苑に埋葬された方々の、おひとりおひとりのお名前と戒名、年齢や没年月日を読み上げました。全部読み終わるまでになんと45分かかりました。

二月堂のお水取りの過去帳は、東大寺の創建以来現代に至るまで、東大寺に貢献のあった方々や有縁の方々のお名前を読み上げます。すべての方のお名前を列挙するわけではありませんが、それでも約30分を要します。

鎌倉時代のこと、集慶(じゅうけい)という僧が過去帳を読み上げていたところ、一人の女人が幻のようにあらわれ、なぜ私の名前を読まないのかと問いただしました。驚いた集慶は、とっさに女性が着ていた衣の色から青衣の女人(しょうえのにょにん)と読み上げます。女人禁制の二月堂内陣に現れた謎の女性。後世に能や歌舞伎でも演じられたこの故事をご存じの方も多いのではないでしょうか。

青衣の女人は実話なのか創作なのか。あまり考えたこともなかったのですが、天平墓苑合同法要で過去帳を読み上げるようになって、これは実話が元になっているに違いないと確信しました。

ご遺族の前で名前を間違えたり読み飛ばすことは絶対にあってはなりません。一言も間違えずに読み続けることは実に神経をつかいます。ほんとうに真剣勝負です。ハレの場で名を読んでもらえる立場にありながら、読み飛ばされた遺族や本人の思いはいかばかりでしょうか。黄泉の国から青衣の女人が現われるほどの切ない気持ちが実感としてわかるのです。

今回は青衣の女人は現れませんでした。一年に一回の合同法要に、ご遺族や諸霊に満足いただけたのではないかと安堵しています。合掌