天平遺跡発掘状況
2014年2月、墓地開発にともなう事前発掘調査で、奈良時代中期(8世紀)の須恵器の壺一基が発掘され、中に和同開珎5枚が内蔵されていることが確認されました。
調査の結果この地点は、東大寺大仏殿の中軸線上(真北およそ400メートル)に位置することがわかりました。
また、正倉院宝物である奈良時代の絵図「東大寺山堺四至図」によりますと、当時の東大寺々域境内の北限にあたる場所と推定されます。
以上のことから、壺は東大寺造営期に、東大寺境内全域を守る北側の鎮壇具として、埋納されたものと考えられています。
奈良時代の東大寺の寺域を考える上で、きわめて貴重な遺跡であることから、墓地計画を一部変更して出土地を保存することといたしました。
画像:奈良県立橿原考古学研究所提供 CT画像:撮影 九州国立博物館