台風のために延期していました合同法要を、10月4日中秋の名月の日に厳修いたしました。

直近までの曇天もその日にはいずこへ。

闇に煌々と月が輝くさまは輪郭もくっきりと、まるで黒地に一粒の真珠を置いたかのようです。

そして夜風にさわさわと、竹林の葉の囁き。

天平墓苑がこれほどまでに幻想的な舞台になろうとは、私自身思ってもみないことでした。

まずはこの一年間で新たにここに眠られた方々を偲び、読経いたしました。

読み上げるおひとりおひとりのお名前に合わせ、合掌し祈りをささげるご参列の皆様。

浄土におられる大切な方に、きっとその思いは届いたことでしょう。

そして今回は、素晴らしいお供えをいただくことができました。

当苑にご縁をいただいたアーティストの藤井哲子さんが、奉納演奏をしてくださったのです。

ステージピアノの透明感あふれるメロディに竹林と名月が溶け合い、苑内がしばし幽玄の時間に包まれました。

その後は、お茶とお月見団子を味わいながらの名月観賞タイム。

実は密教には「月輪観(がちりんかん)」という瞑想があります。

私たちは、月が自分の目に映る姿から「満月」「半月」「三日月」などと呼び分けていますが、月そのものはいつも変わらぬ姿でそこにあります。

月を雲が覆い隠すように、心が晴れない日もあるでしょう。また月が満ち欠けするように、心揺れる日々もあるでしょう。

しかし、私たちの心の中にはいつも仏心を象徴する満月輪があり、それを信じて励むことが仏教の修行なのだと教えているのです。

少し肌寒い夜ではありましたが、記念すべき第一回目の合同法要をたいへんいいものにすることができました。

これもご参集・ご協力くださった多くの方々のおかげと、感謝いたしております。

皆様、ありがとうございました。